国際ロマンス詐欺案件について
国際ロマンス詐欺とは、外国に住んでいる風を装い、被害者に接近し、親近感を持ったところで、金銭をだましとる詐欺の総称と言えます。
国際ロマンス詐欺という名前からは結婚詐欺に近いものを連想しますが、実際には、海外からの荷物の郵送費などがかかる、あるいは海外投資ができるなどの様々なだましの手口があります。
こういった詐欺にあわないことが重要であることは言うまでもありません。SNSだけで連絡を取っている相手が金銭を要求してきたときには、きちんと断らなければなりませんし、SNSだけではなく、金銭の要求には最大限警戒しなければなりません。
しかし、万が一、詐欺にあってしまったら、どうしたらいいでしょうか。
お金を取り戻したいと考えるのは自然なことです。
ただ、詐欺にあってしまった場合に被害回復は容易なのでしょうか。
お金を支払ってしまった場合、その被害回復は非常に難しいといわざるをえません。
詐欺でお金を振り込んでしまった場合、そのお金はすぐにどこかに移動させられてしまいますし、何よりも相手方の連絡先を見つけることさえ簡単なことではありません。
だからこそ、詐欺グループはSNSを利用した詐欺を行うのです。
心情として被害回復を目指すことは自然なことですが、一方で被害回復は難しいこともまた事実です。
そうした場合、成果見込みとしては低いことを前提に行動しなければならず、むしろ被害を拡大しないために動かざるをえないでしょう。
詐欺被害にあったら、インターネットで検索して、弁護士に依頼しようと考える人もいるかもしれません。
ですが、今やその弁護士への依頼ですら、注意が必要になってきています。
東京弁護士会は「国際ロマンス詐欺案件を取り扱う弁護士業務広告の注意点」として、インターネット上の広告には弁護士の広告規定に違反する広告が散見されると注意を呼び掛けています。
インターネットを介して弁護士を依頼し、高額な着手金を支払ったものの成果が上がらず、二次被害が生じているという苦情もよく聞かれます。
広告では全額被害回復を「目指します」とされています。
全額被害回復を目指すのはいいけれども、その可能性はどの程度あるのかという点には注意が必要です。この可能性についてあたかも大きな可能性があるかのように装い、高額な着手金を支払わせることはやはり過度な期待を抱かせるものですし、私の抱いている印象では詐欺被害回復に熱心な弁護士ほど成果が上がらないことを考えて事件の着手時は実費や多少の手数料のみとして、取り戻せた場合に取り戻したお金から報酬をもらっているように思われます。
万が一、詐欺の被害にあってしまった場合、被害者としては被害回復をしたいと思うことは自然なことだと思いますが、被害回復をするためにと思って、さらに被害が生じるようなことは避けなければなりません。
詐欺被害の回復の時にも注意しなければならないというのは大変な世の中だと思いますが、弁護士への依頼の際にも注意していただければと思います。
南 昌宏